留学先のエリア選びのヒント|気候・日照・最適な服装 - フォルクフーグスコーラ留学

スウェーデン南西部12月の冬景色

留学先エリアの決め手となる”現地の環境”を探ろう

スウェーデンのフォルクフーグスコーラへ留学したい! と前向きに下調べを始め、最初につまずくのはスウェーデンの住環境に関する情報ではないでしょうか。

北に位置するスウェーデンは日本に比べると湿度も気温もぐんと低いため、どんな服装で過ごせば快適なのか想像しにくいかもしれません。

本記事では、スウェーデンの地域ごとの気候に加え、防寒対策、筆者が留学した南西部の情報について詳しく解説していますので、あなたの留学計画にお役立てください。

この記事で分かること

✓ スウェーデンの地域別情報

✓ 南西部の気候情報(筆者 実体験)

✓ 白夜・極夜の体調対策

✓ 季節ごとの快適な服装、防寒対策

✓ スウェーデンならではの暖房器具

(所要時間: 約15分)

スウェーデン エリア別の概要

学校を探す上で大切な要素、居住エリアについて基本の情報と時期ごとの平均気温、日照時間などをまとめました。

スウェーデンの地域

スウェーデンの地域は大きく3つに分けられます。

  • ノールランド Norrland
  • 北部。国土の約6割を占める。トナカイ遊牧で暮らすサーミ文化、自然を生かしたツーリズムが豊富。

  • スヴェアランド Svealand
  • 中部。最も小さな地域だが、首都ストックホルムが位置する。スウェーデンの代表的な伝統工芸「ダーラナホース」の発祥地を含む。

  • イェータランド Götaland
  • 南部。第2の都市イェーテボリ(ヨーテボリ)、第3の都市マルメーが位置する。

スウェーデン 地域別 主な都市と空港のマップ

上の画像はスウェーデンの地域を色分けし、主な都市と空港をマークしたマップです。

空港は全部で33ある内の、国際線や国内線の定期便がある主要なものだけをピックアップし、その内、国際線のある空港は赤字で明記しました。

そしてこの地域を4つに分類し、エリアごとの適当な都市を選んで平均気温、日照時間を以下2つの表にまとめました。

エリア別 気候情報

スウェーデンは日本の北海道よりはるか北に位置していて、北部は北極圏に達する地域もあります。
空気は日本より乾燥していて、太陽が低い角度に位置するからか、夏場や晴れの日はじりじりとした日差しの強さを感じられます。

エリア別 季節ごとの平均気温
エリア 主な地域 春(3-5月) 夏(6-8月) 秋(9-11月) 冬(12-2月)
最北部 キルナ・イェリヴァーレ・ウメオ -16~15℃ 3~20℃ -14~16℃ -18~-1℃
北部 スヴェーグ・エステルスンド・スンツヴァル -9~15℃ 5~21℃ -7~16℃ -13~-1℃
中部 ストックホルム・エレブルー・ファールン -7~18℃ 5~23℃ -6~19℃ -11~3℃
南部 ヴィスビュー・イェーテボリ・マルメー -3~17℃ 8~22℃ 1~19℃ -3~5℃

エリア別 日照情報

スウェーデンは高緯度の影響で北に行くにつれ、日照時間が短くなっていきます。
最北部以外、夏は明け方前から空が明るくなり、夜は21時頃まで昼間のような明るさが続き、やがて日が沈みます。
冬は朝8~9時頃にようやく日が昇り、昼を過ぎた14時頃から夕暮れが始まります。一日を通して太陽が高く昇りきらないまま沈むため薄暗い日が続きます。

エリア別 夏/冬の平均日照時間(日の出/日の入り)
エリア 主な地域 日照時間
最北部 キルナ・イェリヴァーレ・ウメオ 0:57~
(白夜*)
10:59~12:11
(極夜*)
夏:約 24時間
冬:約 1時間
北部 スヴェーグ・エステルスンド・スンツヴァル 2:50~23:16 9:37~14:17 夏:約 21時間
冬:約 4時間
中部 ストックホルム・エレブルー・ファールン 3:30~22:07 8:45~14:58 夏:約 18時間
冬:約 6時間
南部 ヴィスビュー・イェーテボリ・マルメー 4:30~21:55 8:37~15:35 夏:約 17時間
冬:約 7時間

*白夜と極夜 … 太陽が一日中沈まない、または薄明状態が続くことを白夜、太陽が一日中昇らず昼間でも薄暗い状態が続くことを極夜といいます。

出典:Weather Spark(2025年11月閲覧)

筆者の暮らした南西部イェーテボリ近郊の気候

スウェーデン南西部での暮らし

筆者は2024年~2025年の約1年弱、南西部にある 首都に次ぐ都市”イェーテボリ”の近くで留学生活を送りました。

私の過ごした田舎町は「にわか雨」が多く、天候や気温がかなり変わりやすいエリアでした。ある夏の日が20℃を超える快晴でも、翌日は10℃以下で終日雨だったり、ようやく温かくなった5月ある日の週明けは22℃でしたが、木曜には0℃まで下がり強い雨と吹雪で真冬のようでした。

季節の変遷が予測しにくかったので、エリアによっては四季のニュアンスは感じられても日々の気候の変化は読めないことがあり得ると思います。

肌を刺すような太陽の日差し、強風

スウェーデンの太陽の日差しは日本の夏より強く、ジリジリと刺すような感じでした。春~秋にかけては気温が12℃しかなくても、日差しがあれば上着なしで歩けるほど暖かったです。

また、南西部は海が近いからか風が強い傾向があり、風のある日は実際の気温よりぐんと体感温度が低く感じられました。そして季節問わず空気が乾燥していましたが、雨の日は湿度も高くジメジメしていて、肌寒さがやや強まりました。

2024-2025年のイェーテボリ近郊の気候

筆者が夏に渡航した日の天気は小雨で気温は12℃、かなり寒かったのを覚えています。

イェーテボリ近郊の私がいた町は、最低気温が-15℃前後になる日が1~2日ほど、一番寒い1月や2月は平均して−7℃前後でした。くるぶし~すね辺りまで積雪がありましたが、道路・歩道は除雪されるので移動に困ることはありませんでした。

クラスメイトから聞いた話ですが、2024年は暖冬だったらしく、昨年(2023年)の冬は−20℃まで下がり、豪雪で1mほど雪が積もって移動も防寒対策も大変だったようです。

過去から気候を推測するのが難しい地域だと現地の人々も話していたのが印象的でした。

南西部の暮らしまとめ

  • 季節の移ろいはあるが、日によって気温や天候の落差が激しい
  • 一年を通して空気は乾燥している
  • にわか雨が多く、雨の日は湿度が高くジメジメする
  • 2024年のイェーテボリの最高気温は23℃(6月)、最低気温は-12℃(12月)

季節に合った服装と防寒対策

寒冷地帯のスウェーデンは空気が乾燥していて、短い夏は涼しく過ごしやすいですが、冬は厳しい寒さが春先まで続きます。

暑がり・寒がりなど個人の感じ方によって多少の誤差はありますが、どの時期も朝晩や日差しの具合で体感温度が様変わりするので、重ね着で調節することをおすすめします。

ここでは筆者の実体験を基に、時期ごとの服装や冬の防寒対策について表にまとめました。ほとんどの地域で参考になるかと思います。

気候ごとの推奨する服装一覧
季節 気温
Max./Min.
服装 服飾品 補足・外出時のアドバイス

(3-5月)
19℃/-1℃ 薄手セーター、カットソー、カーディガン、フルレングスパンツ キャップ、サングラス 日差しが出始める。やや寒いが防寒不要の日が増える。日よけ対策があると◎。紫外線対策をする

(6-8月)
23℃/12℃ カットソー、カーディガン、薄手パンツ キャップ、サングラス 陽が陰ると肌寒い時もある。日によって半袖、ハーフパンツ等やや薄手で過ごせる。羽織を常備すると◎。紫外線対策をする

(9-11月)
18℃/10℃ 薄手セーター、ジャケット、ジーンズ サングラス、ストール 陽が出ると暖かいが気温が下がり出す。薄手の上着や首回りの防寒があると安心

(12-2月)
5℃/-15℃ セーター、厚手カーディガン、レギンス、コート、ダウン 手袋、雪用靴、ニット帽、マフラー等の防寒具、ゴアテックスの靴(防雪) 室外/室内で寒暖差が大きいので着脱しやすさで服を選ぶと◎。室内はTシャツ・極薄手でもOK。外出時はヒートテックを推奨

防寒対策

スウェーデンの真冬は、氷点下で除雪された路面が凍結しやすく、普通のスニーカーやブーツでは転倒の恐れがあるため防水タイプの靴を用意する必要があります。

筆者は友人のお古を譲ってもらったり貸してもらえたので買わずに済みましたが、靴屋で見た時はスニーカーやブーツは1万円前後くらいで販売していました。

現地の友人におすすめされたのはゴアテックス製の防雪用スニーカーやブーツでした。日本から持っていくのはパッキング時に容量も重さもかさむので、現地調達をおすすめします。

暖房設備 ”Element(エレメント)”

スウェーデンのセントラルヒーティング「エレメント」

スウェーデンのセントラルヒーティング「Element」(写真中央)

雪国スウェーデンでは、寒くて凍える冬を乗り越えるために温水式のセントラル・ヒーティングシステムが採用されています。

地域ごとに温水や蒸気を作る工場があり、地域全体に張り巡らされたパイプラインから各施設や家庭へ温水が送られます。

建物内は”Element(エレメント)”と呼ばれているパネルヒーターが窓の下や壁面に設置されていて、部屋全体を温める仕組みになっています。そしてこの仕組みは道路や歩道の一部にも導入されていて、路面凍結を防いでくれています。

ちなみに窓は基本的に二重窓の構造で、網戸は付いていません。

室内では冬でも半袖で過ごせる?!

このエレメントのおかげで室温は一年を通して22℃前後に保たれています。温度設定のダイヤルで室温を自由に調整することができるので、氷点下になる真冬でも室内はかなり暖かく過ごせます。

現地の人々は真冬でも薄いブラウスやカットソー、半袖Tシャツを着ている人が多く、セーターやカーディガンを脱ぎ着して調節していました。私も一年を通して室内ではウールの長袖カットソーか薄手セーター、冬はたまに半袖だけで過ごしました。

夏場は基本的にエレメントが稼働していないので、肌寒く感じる日は服装で調節するか、寝る時に毛布を使用する必要があります。

白夜・極夜の体調対策

スウェーデンは高緯度に位置するため夏は日が長く夜まで明るく、夜は昼過ぎに陽が暮れ始めます。北部に行くにつれてこの傾向は強まり、夏は陽が沈まずずっと明るく、冬は陽が昇らず薄暗くなります。

一年を通して日照時間の差が激しいスウェーデンでは、夏場は夜まで明るいため自律神経に乱れが生じたり睡眠に影響が出ることがあります。また、冬場は日照不足により体内のビタミンDが生成されず疲れやすくなったり、鬱症状が出やすくなります(冬季うつ)。

夏は夜になったら部屋のカーテンを閉めて灯りを暗くするなど、疑似的に暗い環境を作るように心がけましょう。そしてサマータイムの終わる秋頃から日の入りが早くなり始めたら、意識的に魚を多く食べたりビタミンDサプリを毎日摂取することが大切です。

ビタミンD不足のサイン

こんな症状が出始めたら、ビタミンDの摂取を心掛けましょう。

  • 寝覚めが悪い
  • 朝起きたばかりでも体がだるい
  • 身体、メンタルが疲れやすい(筋力低下)
  • やる気が出にくい、すぐに気落ちする
  • 風邪をひきやすい(免疫力の低下)

夏の不眠症、冬の冬季うつ対策

  • ・20時くらいから部屋のカーテンを閉める
    ・夕方以降、部屋の照明を暗くする
    ・外が明るくても同じ時間に眠る

  • ・ビタミンDサプリを毎日摂取する
    ・ビタミンD豊富な食事を摂る(魚、卵、きのこ)
    ・適度な運動
    ・カーテンやブラインドを開けて眠る(朝日を入れる)

エリアに関するQ&A

最後に、エリアにまつわる疑問や不安点を解消できるよう 筆者の実体験をまじえたQ&A形式でまとめました。

Q1: 都会と田舎、北と南、どちらが住みやすいですか?

A: 利便性を優先するなら都会、暖かさを優先するならです。

「都会」と「田舎」、「北」と「南」を比較対象にざっくり表にまとめてみました。

  メリット デメリット
都会 移動が楽、買い物の選択肢が多い 治安の悪い地域がある
田舎 自然豊かでのどか、治安が比較的よい 都会まで移動距離がある、店が少ない
夏が涼しくて快適、冬季スポーツや北部ならではの娯楽がある 積雪で交通機関に支障が出やすい、防寒対策が必須
北部ほど寒くならない、主要都市が多く集中していて旅行しやすい 一部地域で治安に注意が必要

留学となると現地の治安が気になるポイントと思います。北部は全体的に治安は良好ですが、南部・中部の主要都市の一部地域はギャングによる犯罪や観光客を狙った軽犯罪などの治安の悪い点が挙げられます。

ただし、私のクラスメイト(現地民)曰く”該当エリアにさえ行かなければ、銃犯罪に巻き込まれることもなく普通の暮らしができる”とのことです。

日本も同様で田舎には田舎の、都会には都会の良さがあります。スウェーデンはそれに加えて寒冷地帯であることを念頭にエリア選びの参考にしてください。

筆者の場合、寒さがとにかく苦手で自然の中でのんびり過ごしたかったので南部・中部エリアの田舎に絞って学校を探し、南西部イェーテボリ近くの学校を選びました。

国内トップクラスに治安のよい地域で、2024年の冬は前年より寒くないと聞きましたが、一番寒い日で12月に-15℃くらいまで下がりました。積雪があっても路面は除雪されるので外は出歩けました。

Q2: 田舎エリアを選んで後悔したことはありますか?

A 近隣の都市部への移動に不便を感じました。

筆者は留学先エリアに南部・田舎を選びました。後悔するほどではありませんでしたが、交通・長距離移動に関しては不便に感じることが多かったです。

例えば、イェーテボリをはじめ近郊の都市部に行くまでに、バスや電車を乗り継ぎ2時間ほどかかることや、バスや電車の本数が1時間に1本だった等が挙げられます。(本数の多い路線もありましたが、乗換えの時間を考慮すると実質1時間に1本になることがほとんどでした)

基本的にどこへ行くにも車やバスなどの交通機関で30分以上かかるのは当たり前で、乗り遅れたり乗り過ごすと1時間は待機することになるのは少し不便に感じました。

特に真冬の氷点下の中、駅のホームで待機した時は、凍える寒さだったので日本を恋しく感じました。

Q3:イェーテボリはどんな街ですか?

A: ヨーロッパと港町を肌で感じられる都市です。

イェーテボリへは季節ごとに何度か足を運びましたが、古い建物や大きな商業施設が沢山あり、通りも広くてトラム(路面電車)が運航していて「ザ・ヨーロッパ」という街並みに感じました。

街を歩く人たちは洗練されたファッションを身にまとっていることが多く個性豊かで、様々なルーツを持つ人たちで溢れていました。

古い建物には個人の商店や会社が入っていたり、繁華街の方はショッピングモールや商業施設、ユニクロやイケア、H&Mなどの誰もが知るお店があるので、必要なものは何でも揃います。

また、港町らしくすぐ近くに波止場があり船が停泊していたり、公園にはカモメが歩いていたりとイェーテボリならではの景色も楽しめました。

Q4:南部地域のおすすめポイントはありますか?

A: 近隣に大きな都市が集中していること、デンマークに近いことです。

例えば、南部にはスウェーデンで二番目に人口の多い都市イェーテボリや三番目に人口の多いマルメーがあります。

イェーテボリからマルメーまで電車で約3時間、中部にある首都ストックホルムまで約3~4時間、そしてお隣デンマークのコペンハーゲンまで約4時間でアクセスできます。

長距離の鉄道もバスも、時間帯によって片道1万円を切る運賃で行けるので旅行のハードルも低めです。

南部地域は都市間のアクセスがよいので、天候のよい春~夏に小旅行や遠出しやすく、余暇を楽しむのにおすすめの留学先エリアだと思います。

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